コーポレートサイトを制作したものの、思うような成果が得られず悩んでいる企業は少なくありません。
一方で、問い合わせ数が3倍以上に増加したり、採用応募数が大幅に向上したりと、確実に成果を出している企業も存在します。
両者の違いはどこにあるのでしょうか。
実は、成果を出した企業には明確な共通ポイントがあります。本記事では、コーポレートサイト制作で実際に成果を上げた企業に共通する7つのポイントを、5つの成功パターンとともに解説します。
コーポレートサイト制作で成果を出した5つの成功パターン
実際に成果を出している企業には、次のような成功パターンが見られます。
【パターン1】BtoB企業の問い合わせ増加事例
営業効率を重視した設計により、新規問い合わせ数が3~10倍に増加。見込み客の質も向上し、商談化率が大幅に改善されました。
【パターン2】BtoC企業の売上向上事例
使いやすさを徹底的に追求した結果、購入数や会員登録数が増加。顧客レビューなどのリアルな情報発信で信頼性も向上しました。
【パターン3】採用強化に成功した事例
企業文化や働き方を可視化するコンテンツにより、採用応募数が増加。応募者の質も向上し、ミスマッチが減少しました。
【パターン4】SEO経由の流入増加事例
検索エンジン対策を徹底した結果、オーガニック検索からの流入が大幅に増加。広告費を抑えながら安定的な集客を実現しました。
【パターン5】ブランドイメージ向上事例
企業理念を具体的に表現するコンテンツにより、企業の認知度と信頼性が向上。取引先からの評価も高まりました。
これらの成功企業には、7つの共通ポイントがあります。
【共通ポイント1】明確な目的設定が成功と失敗を分ける
成果を出した企業の最大の共通点は、制作前に明確な目的と数値目標を設定していることです。
「なんとなく会社情報を掲載したい」「デザインが古くなったから」といった曖昧な理由で制作を始めた場合、ゴールが不明確なため成果の測定すらできません。
メーカーによると、これが失敗の最大原因とされています。
成功企業は、最終ゴール、成功要因、プロセス指標の3段階で目標を設定しています。
たとえば次のような具体的な数値目標を掲げています。
- BtoB企業:「月間問い合わせ数20件」「商談化率30%向上」
- BtoC企業:「月間購入数100件」「会員登録数500件」
さらに、短期(1~3ヶ月)・中期(3~6ヶ月)・長期(6ヶ月~1年)の段階的な目標設定を行い、進捗を確認しながら改善を重ねています。
- KGI(最終ゴール)とは:事業全体で達成したい最終的な目標です。例:年間売上1億円
- KSF(成功要因)とは:目標達成のために必要な重要な要素です。例:問い合わせ数の増加
- KPI(プロセス指標)とは:成功要因を達成するための具体的な数値目標です。例:月間アクセス数5,000
【共通ポイント2】「誰に届けるか」を徹底的に明確化
「誰に何を届けるか」を徹底的に考え抜くことも、成功企業の共通項です。
対象者を明確にせずに制作を進めると、誰にも刺さらないサイトになると一般的に指摘されています。
成功企業は、ターゲットをさらに詳細に設定しています。
BtoB企業の場合は、購買を決定する担当者の職種、関心事、情報を探す際の行動パターンまで具体化します。
BtoC企業の場合は、年齢・性別・ライフスタイルといった基本情報だけでなく、悩み・価値観などの心理面まで詳しく設定します。
この設定に基づいて、コンテンツ、デザイン、ページの導線、マーケティング戦略のすべてが決まるため、この段階に十分な時間をかけることが重要です。
ペルソナとは:ターゲットをより具体的にした架空の人物像です。例:「45歳、製造業の購買担当課長、コスト削減に関心がある」など詳細に設定します。
【共通ポイント3】見た目より使いやすさを最優先
デザインが美しいだけでは成果につながりません。
使いやすさが、訪問者の離脱率と成果に直結するからです。
BtoB企業のサイトでは、担当者が短時間で必要な情報を見つけられる設計が求められます。
業務時間内に複数のサイトを比較検討する担当者は、探している情報がすぐに見つからないと離脱してしまいます。
BtoC企業のサイトでは、直感的な分かりやすさと、購入や問い合わせといった行動を促す設計が重要です。
具体的には次のような対策が効果的です。
- 情報の階層構造を明確にし、メニューと導線を分かりやすく設計する
- 問い合わせフォームまでの導線を短縮し、入力ステップを簡単にする
- スマートフォンでの快適な操作を保証する設計にする
特にスマートフォン対応は必須です。一般的に、スマートフォンやタブレットからのアクセスが増加しており、スマートフォンでの表示が検索順位にも影響します。
- UI(ユーザーインターフェース)とは:利用者が操作する画面のデザインや配置のことです。ボタンの位置や大きさなどが該当します。
- UX(ユーザーエクスペリエンス)とは:利用者がサイトを使用した際の体験全体のことです。「使いやすい」「分かりやすい」という感覚です。
- レスポンシブデザインとは:パソコン、タブレット、スマートフォンなど、どの機器で見ても最適に表示されるデザイン手法です。
【共通ポイント4】質の高いコンテンツで差別化する
単なるお知らせ記事の更新だけでなく、訪問者が本当に知りたい情報を提供することが成功企業の特徴です。
自社の強みや独自の視点を具体的に表現できるコンテンツが必須です。
成功企業は、企業理念を次のようなコンテンツで具体的に表現しています。
- 社員インタビュー(実際の働き方や仕事のやりがい)
- 開発ストーリー(商品やサービスができるまでの過程)
- 社会貢献活動(地域や環境への取り組み)
また、訪問者の疑問や不安を解消するよくある質問、導入事例、実績などのコンテンツも効果的です。
定期的な更新は、検索エンジンでの評価向上と訪問者の信頼構築の両面で不可欠な要素となっています。
【共通ポイント5】検索エンジン対策は必須の投資
「ホームページを作れば自動的にアクセスが集まる」という考えは誤解です。
検索エンジン対策がなければ、検索結果の2ページ目以降に埋もれてしまいます。
成功企業は、自社の強みと訪問者の検索ニーズを掛け合わせたキーワード選定を行い、次のような対策を徹底しています。
- ページタイトル、説明文、見出し構造の最適化
- セキュリティ対策(SSL化)の実施
- スマートフォン表示の最適化
コンテンツ量が多いほど検索エンジンでの評価が向上し、ページ間のリンクが増えることで有利になります。
ただし、検索エンジン対策は中長期的な投資であり、効果が現れるまで3~6ヶ月は必要という認識が大切です。
- SEO(検索エンジン最適化)とは:GoogleやYahoo!などの検索結果で上位に表示されるための対策です。
- SSL化とは:サイトの通信を暗号化し、安全性を高める技術です。URLが「https://」で始まるサイトはSSL化されています。
- オーガニック検索とは:広告ではない、通常の検索結果からの流入のことです。
【共通ポイント6】制作会社との信頼関係が品質を左右する
制作会社選びの失敗が、サイトの成否を大きく左右します。
「安さだけ」で選ぶと、品質低下、修正費用の増加、制作期間の延長といったリスクがあります。
次のような基準で総合的に評価すべきです。
- 同じ業種での制作実績があるか
- 制作規模が自社の要望に適しているか
- コミュニケーションが円滑に取れそうか
- 公開後のサポート体制は充実しているか
また、依頼する側の準備が整っていることが、制作品質を大きく左右します。
社内での合意形成(経営層・マーケティング・営業など各部門)がスムーズな進行を左右し、素材(文章、画像、動画)集めの遅れが期間延長の最大原因となります。
制作会社はパートナーです。一方的に任せるのではなく、双方向のコミュニケーションが成功の鍵となります。
【共通ポイント7】公開後の運用が本当の勝負
「制作して公開したら終わり」という考えは大きな誤解です。
公開後の運用と改善が、実際の成果を左右します。
定期的な更新がないと、情報が古くなり訪問者が離れ、検索エンジンでの評価も低下します。
運用を放置すると、次のようなリスクが発生します。
- 表示が崩れる
- セキュリティ証明書の期限が切れる
- セキュリティ上の弱点が生じる
- ページの表示速度が低下する
管理システムを導入すれば社内での更新が可能になりますが、維持費用とセキュリティ対策が必要です。
「固定ページは制作会社、頻繁な更新は自社」という役割分担が効率的とされています。
アクセス解析ツールなどでの分析と改善を継続することで、持続的な成果創出が実現します。
- CMS(コンテンツ管理システム)とは:専門知識がなくても、サイトの更新や編集ができるシステムです。代表例はWordPressです。
- PDCA(改善サイクル)とは:Plan(計画)→Do(実行)→Check(確認)→Action(改善)を繰り返し、継続的に改善する手法です。
まとめ:戦略的な設計と継続的な改善が成功への道
コーポレートサイト制作で成果を出すためには、デザインの良さだけでなく、次の7つのポイントが重要です。
明確な目的設定、対象者の明確化、使いやすさの追求、質の高いコンテンツ、検索エンジン対策、制作会社との連携、そして公開後の継続的な運用です。
特に重要なのは、制作前の戦略的な設計と、公開後の継続的な改善です。
一般的に、成果が現れるまで3~6ヶ月程度かかるため、焦らず着実に運用を続けることが成功への近道となります。
これらのポイントを押さえて取り組めば、あなたの企業のコーポレートサイトも確実に成果を生み出せるはずです。
