個人事業主や小規模事業者がホームページを作ろうと思った時、見積もりを取ると5万円から50万円まで大きな価格差に戸惑うことがあります。
「同じホームページなのに、なぜこんなに違うのか」「安すぎると不安だけど、高すぎるのも避けたい」そんな疑問を持つ方は少なくありません。
実は、この価格差には明確な理由があり、それを理解することが適正な判断への第一歩となります。本記事では、2025年の最新相場をもとに、個人向けホームページ作成費用の価格差がなぜ生まれるのか、その具体的な理由を解説します。
2025年のホームページ制作費用、実際の相場はどのくらい?
まず押さえておきたいのは、2025年のホームページ制作費用の平均は約71.7万円という業界データです。
ただし、これは新規制作で平均62.9万円、リニューアルで平均99.5万円と内訳が異なります。
個人向けホームページに限定すると、ページ数によって相場が大きく変わります。1ページのみの場合は10万〜60万円、5〜10ページの小規模サイトでは10万〜50万円(個人に依頼した場合)、30万〜100万円(制作会社に依頼した場合)が一般的です。
一般的に、5ページ程度の標準的なサイトで30万〜50万円が相場とされています。
つまり、最低価格の5万円は単一ページで最小限のデザインを施した場合、50万円は5〜10ページの標準的なサイトを制作会社に依頼した場合という位置づけです。
LP(エルピー)とは:ランディングページの略で、1ページ完結型のホームページのことです。商品紹介やサービス案内に特化した構成になっています。
価格差を生む最大の要因は「デザインのオリジナル性」
個人向けホームページ作成費用で最も大きな価格差を生むのが、デザインのオリジナル性です。
既製のテンプレートを使う場合、初期費用は10万〜30万円程度で済みます。しかし、完全オリジナルデザインになると20万〜40万円、すべてをゼロから作るフルオーダーメイドでは50万〜200万円以上かかることもあります。
テンプレート型の最大の利点はコストと納期です。一方で、他社サイトとデザインが似てしまうリスクや、細かいカスタマイズができない制約があります。
オリジナルデザインは独自性とブランド表現で優位ですが、その分制作工数が増え、費用も高額になります。一般的に、小規模事業の場合はテンプレートで十分なケースが多く、成長に応じてリニューアルする方法が現実的です。
テンプレートとは:あらかじめデザインや構成が決まっている雛形のことです。服で例えるなら、既製服(テンプレート)とオーダーメイド(オリジナルデザイン)の違いに似ています。
機能の複雑さで変わるホームページ作成費用
シンプルな情報掲載サイトと、複雑な機能を持つサイトでは工数が大きく変わります。
基本的なホームページ作成では、1ページあたりのコーディング費が1.5万〜6万円かかります。さらに問い合わせフォームなどの機能を追加する場合、1機能あたり5,000円からの追加費用が発生します。
ブログ機能の有無が費用を大きく左右するポイントです。一般的に、WordPressの導入と初期設定だけで5万〜10万円かかります。
オンラインショップ機能や予約システムを組み込む場合は、50万〜200万円以上と大幅に高額になります。個人向けホームページで50万円を超える見積もりの多くは、こうした高度な機能が含まれています。
WordPress(ワードプレス)とは:世界中で使われているホームページ作成システムです。ブログ記事の投稿や更新が簡単にできるため、情報発信を頻繁に行う場合に適しています。
コーディングとは:デザインをインターネット上で表示できる形に変換する作業のことです。設計図を実際の建物にする作業に似ています。
素材を自分で用意するだけで5万〜30万円の節約に
文章や画像を自分で用意するか、制作会社に依頼するかで費用が大きく変動します。
一般的に文章制作は1文字0.5円〜数円、画像制作・購入で数千円〜50万円、動画制作で10万〜200万円以上です。
素材を自分で用意できれば5万〜30万円のコスト削減につながります。特にビジュアル重視型のサイトでは、画像や動画の制作費が爆発的に増加するため、既存の写真や動画を活用できるかどうかが予算を左右します。
見積もりを依頼する際は、文章作成費が含まれているか必ず確認しましょう。含まれていない場合、後から追加費用が発生して予算オーバーになる可能性があります。
依頼先で30〜50%変わる!制作費用の比較
個人向けホームページ作成費用は、誰に依頼するかで大きく変わります。
| 依頼先 | 費用相場 | 特徴 |
|---|---|---|
| 中小制作会社 | 50万〜100万円 | バランス型、専門性あり |
| 個人(フリーランス) | 10万〜50万円 | 低価格、スキル差が大きい |
| 自作ツール | 月額500〜4,000円 | 初期費用ほぼゼロ |
一般的に個人への依頼は中間マージンがない分30〜50%安価ですが、公開後のサポート体制や納期管理には注意が必要です。
自作ツールを選ぶ場合、ペライチは月額0円〜3,278円、Jimdoは0円〜5,190円、Wixは500円〜13,500円と幅があります。WordPressを自分で運用する場合は月額1,000〜2,000円のサーバー代と年額1,000円のドメイン代で済みますが、技術的な学習が必要です。
マージンとは:仲介手数料のことです。大手制作会社では複数の担当者や部署を経由するため、その分の費用が上乗せされます。
ドメインとは:インターネット上の住所のようなものです。例えば「example.com」のような、ホームページの固有の名前を指します。
見落としがちな「進行管理費用」が価格差を生む
制作進行の管理や企画提案にかかる費用を「ディレクション費」と呼びます。一般的に総額の10〜30%を占める重要な項目です。
大手制作会社ほどこの比率が高く、個人への依頼ではこの費用が省略されるため低価格を実現しています。
「企画から公開まですべて任せる」のか「制作のみ依頼する」のかで費用が大きく異なります。前者は手厚いサポートが受けられますが、その分費用が上乗せされます。
広告代理店を経由する場合、さらに30%以上のマージンが加算されることもあり、同じホームページでも依頼ルートによって50万円以上の差が生まれることがあります。
ディレクションとは:プロジェクト全体の進行管理や方向性の決定を行う業務です。映画監督のように、全体を統括する役割を指します。
初期費用だけで判断すると失敗する理由
個人向けホームページ作成で見落としがちなのが、初期費用以外のランニングコストです。
自社で管理する場合、レンタルサーバーが月額220円〜1,500円、独自ドメインが年額1,000円〜5,000円(月額換算で約70〜400円)かかります。合計すると月額5,000円以下で運用可能です。
一方、制作会社に管理を委託する場合、基本保守(サーバー監視・更新)で月額5,000円〜2万円、充実サポート(内容更新代行含む)で月額2万〜5万円、大手制作会社の管理で月額5万円以上が相場です。
一般的に、3年間の総運用コストで判断することが重要とされています。例えば「初期費用50万円+管理費月1万円」の場合、3年総額は86万円ですが、「初期費用20万円+管理費月3万円」なら3年総額は128万円となり、初期費用が安くても総額では高くなるケースがあります。
ランニングコストとは:継続的にかかる運用費用のことです。携帯電話の月額料金のように、ホームページも維持するための費用が毎月発生します。
5万円〜50万円の価格差、どう判断すればいい?
個人向けホームページ作成費用の5万円〜50万円という価格差は、デザインのオリジナル性、機能の複雑さ、素材制作の有無、進行管理費用、そして依頼先の規模によって生まれます。
重要なのは、事業規模に見合った適正な選択をすることです。
実際に「400万円かけても問い合わせゼロ」「150万円で3年間問い合わせ1件」という事例も報告されており、高額だから効果的とは限りません。一般的に、同等の成果を25万円程度で実現できたケースもあります。
まずは複数の見積もりを取り、内訳を詳しく確認すること。そして初期費用だけでなく、3年間のランニングコストも含めた総額で判断することが、後悔しない選択につながります。
小規模事業であれば、月額数千円の自作ツールから始めて、事業成長に合わせて段階的に投資する方法も賢明な選択肢の一つです。
自分のビジネスに本当に必要な機能は何か、どこまで自分で対応できるか、この2点を明確にすることが、適正なホームページ作成費用を見極める鍵となります。
