中小企業がHP制作会社を選ぶ際、「見積もりが適正か分からない」「作った後に更新できない」といった悩みは尽きません。実際、Web制作の外注における失敗率は約9割とも言われ、予算超過やデザインの不一致が主な原因です。2025年は特にスマホ対応やAI活用が進む中、適切なHP制作会社を選ばなければ、せっかくの投資が無駄になってしまいます。
本記事では、中小企業が本当に選ぶべきHP制作会社の条件を5つに絞り、契約から技術基準まで具体的に解説します。
なぜHP制作会社選びで9割が失敗するのか
一般的に、Web制作を外注した企業の約9割が何らかの失敗を経験しているとされます。失敗の第1位は予算超過で、「見積もりより高くなった」という声が後を絶ちません。次いで多いのがデザインや要望の不一致です。
特に注意すべきはリース契約の罠です。消費者庁や国民生活センターでも注意喚起されているように、「初期費用0円・月額2万円」といった謳い文句で5年リース契約を結ばされるケースが頻発しています。月額は安く見えても、5年総額では180万円になり、相場の2~3倍です。しかも事業者間の契約では解約時のクーリング・オフが適用されないため、一度契約すると解約できません。
リース契約とは: 物品を長期間借りる契約のことです。本来、ホームページのような「形のないサービス」はリース契約の対象外ですが、ソフトやパソコンとセットにして契約させる手口があります。
こうした失敗を避けるには、明確な選定基準を持つことが不可欠です。
条件①:ドメインやサーバーは自社名義で契約できるか?
HP制作会社を選ぶ際、最も重要なのがドメイン・サーバー・著作権が自社名義になるかという点です。
ドメインとは: インターネット上の住所のようなもので、「○○○.com」や「○○○.jp」といったホームページのアドレスのことです。
サーバーとは: ホームページのデータを保管する場所のことです。
制作会社がドメインを代理取得し、名義も制作会社のままにするケースでは、解約時に「ドメイン移管料」として高額請求されたり、ドメインを盾に解約を拒まれたりするトラブルが頻発しています。経済産業省のガイドラインでも、こうした契約形態のトラブル事例が報告されています。
また、解約困難な「5年リース契約」は絶対に避けてください。契約時に「ドメインとサーバーは誰の名義になりますか?」と必ず確認しましょう。
条件②:自社で更新できる仕組みは用意されているか?
2025年の時点でも、WordPress(ワードプレス)は世界シェアNo.1の更新システムです。お知らせやブログを自分たちで更新できる仕組みがあるかは、ランニングコストを抑える上で極めて重要です。
CMS(コンテンツ管理システム)とは: ホームページの内容を簡単に更新できる仕組みのことです。WordPressが代表的です。
一方、制作会社独自のシステムを提案された場合は要注意です。他社への乗り換えが事実上不可能になるケースがあります。メーカーによると、「作るだけ」ではなく「自社で育てられる」設計が、長期的なコスト削減につながるとされています。
更新のたびに制作会社へ依頼し、その都度数万円の費用が発生するような仕組みでは、結果的に高コストになってしまいます。
条件③:スマホで見やすいデザインに対応しているか?
総務省の調査では、個人のスマホ保有率は8割~9割超で、検索流入の7割以上がスマホ経由というデータもあります。つまり、パソコン版よりスマホ版の見やすさが検索順位を決める時代なのです。
HP制作会社が2025年基準を満たしているかを判断するには、以下を確認してください。
- スマホでもパソコンでも見やすいデザイン(レスポンシブデザイン)
- ページの表示速度が速いこと(Core Web Vitalsへの対応)
レスポンシブデザインとは: スマホ、タブレット、パソコンなど、どの画面サイズでも自動的に見やすく表示されるデザインのことです。
Core Web Vitals(コアウェブバイタル)とは: Googleが定めたページの読み込み速度や使いやすさの基準です。表示が遅いサイトは検索順位が下がります。
一般的に、表示速度が遅いサイトは訪問者がすぐに離れてしまい、検索エンジンの評価も下がります。
条件④:デザインだけでなく集客の視点はあるか?
綺麗なデザインだけでは、問い合わせは増えません。重要なのは「売れる仕組み」と「信頼性」です。
Googleの検索評価基準であるE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を理解しているHP制作会社を選ぶべきです。一般的に、AIが自動生成した記事の量産ではなく、自社の経験や実績を組み込める設計が求められています。
E-E-A-T(イーイーエーティー)とは: Googleが重視する「経験・専門性・権威性・信頼性」の評価基準です。実際の経験に基づいた内容や、専門家による情報が高く評価されます。
Googleは「有用で信頼できる、人間に向けたコンテンツ」を評価する方針を継続しており、2025年もこの傾向は変わりません。単なる「名刺代わり」ではなく、ビジネス成果につながるHP制作を提案してくれる会社を選びましょう。
条件⑤:料金の内訳は明確に説明されているか?
見積もりを確認する際は、初期費用だけでなく毎月かかる費用の内訳まで必ず確認してください。
| 項目 | 相場 | チェックポイント |
|---|---|---|
| 月額保守費 | 5,000円~2万円 | 具体的に何をしてくれるのか |
| ドメイン・サーバー費 | 年間1万~3万円 | 自社名義で契約できるか |
保守費の相場は月額5,000円~2万円ですが、中には「何もしない管理費」を請求する会社も存在します。メーカーによると、適切な保守には定期的なセキュリティ更新やバックアップが含まれるべきとされています。
また、補助金の活用にも注意が必要です。「IT導入補助金でHPが半額」という話をよく聞きますが、2025年のIT導入補助金は単なる会社紹介サイトは原則対象外です。予約システムや決済機能などが必要になります。小規模事業者持続化補助金も、ホームページ関連費は補助金総額の4分の1までという上限があります。
まとめ:失敗しないHP制作会社の選び方
2025年の中小企業がHP制作会社を選ぶ際は、以下の5つの条件を必ず確認してください。
①ドメインとサーバーが自社名義、②自社で更新できる仕組み、③スマホ対応、④集客視点の有無、⑤明確な料金体系。これらを満たさない会社は、長期的に見てコスト増や機会損失につながります。
特にリース契約は絶対に避け、ドメインやサーバーの名義を必ず確認すること。Web制作の失敗率が9割という現実を踏まえ、慎重に選定しましょう。適切なHP制作会社を選べば、ホームページは単なる名刺代わりではなく、ビジネスの成長を支える重要な資産になります。
